Caravan & Anly ロング・クロストーク

Caravan & Anly ロング・クロストーク

Weekend Session (以下、W):CaravanさんもAnlyさんも今回のイベントが決まった時、どう思われましたか?

Caravan(以下、C):俺はギター・ジャンボリー(2020年12月に行われたイベント)に参加して、Anlyさんのライブを見る機会があって、その時は、なんともすごく気持ちが良くなるというか、ギターはもちろん、歌ももちろん、音に羽根が生えて飛んでっている絵が見えるような、すごい爽快感と、ちょっと少しの寂しさのようなもの、そんないろんなものが混在していて、すごく感動を覚えました。最高でした。

Anly(以下、A);うれしい!

C;あのイベントは360度お客さんが入っていて、贅沢な空間で面白かったですね。

A:そうですね。私とCaravanさんはちょっと出番が近くて、楽屋で配信をリアルタイムで見る、みたいな感じだったんですけど…。Caravanさんもループペダルを使っていたような気が…。

C:そうですね。でも、本当に俺は、入門編の入門編みたいな使い方なんですけどね。

A:初めて聴くCaravanさんは、なんかとっても綺麗な曲というか、癒し系のイメージが私の中にはあって、もちろんリズム感のある曲もあるんですけど、どちらかというと、人を癒すような音楽をされているようなイメージがあるんですよね。

C:ありがとうございます。

A:その後に音源も聴いたりしたんですけど、「Hometown」という曲が特に素敵というか、情景が浮かぶ曲だったんですよね。歩きながら聴いてたんですけど、歩きながら目の前に見たことある情景がいっぱい浮かんできて…。なんだろうな、Caravanさんの音楽を聴いて、沸々としたパワーが湧く人がたくさんいるんじゃないかなって思いましたね。

C:ありがとうございます。

W:おふたりは年は離れていますけれど、意外にルーツは近いんじゃないかなと思うんですけど?

A:そうですね。自分はルーツで言ったら、エリック・クラプトンとか、ZZトップとか、CCR(クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル)とか、そこら辺ですかね。

C:そうなんだ!

A:まぁ、父の影響ではあるんですけど。その辺は好きというのを通り越して、ほんとルーツというか、そんな感じです。

C:へぇ、ほんとー。

A:もう血みたい(笑)。

C:ほんとー。それは環境がいいところに生まれましたね。

A:そうですね。

C:音楽教育がいきなりいいところにいたんですね。エリートですね。

A:生まれが沖縄の伊江島っていうちっちゃい島で、自分でCDショップに行ことかできなくて。テレビでも音楽番組を見れるわけではなくて、チャンネル数が少なくて。せいぜいMステくらいしか見れない。だから父が持っているCDか、米軍放送のアメリカン・カントリー・カウントダウンとかチャート番組を聴いて過ごしてました。

C:そうなんだ!じゃあ、逆にいろんなその時の流行とか、ブームとかに流されずに、本当に純粋に自分の”これ好きだな”というものを聴ける環境だったかもしれないですよね。

A:そうですね。好きな音楽が聴けてるという環境だったですね。

C:初めはギターをやろうと思ったの、歌をやりたいなと思ったの?

A:歌いたいからギターを弾いてるみたいな感覚が今もあったりして…。最初は父が弾いてるギターに合わせて、適当に歌ったんですけど、弾いてくれないと歌えないですからね。だったら自分で弾こうかなという感じで。

C:そうなんだ。面白いな。お父さんって、ちなみにおいくつくらいなんですか?

A:64か65歳くらいなんですけど。

C:じゃあCCRとかクラプトンとかをリアルタイムで聴いていた人たちなんだね。

A:そうですね。逆に母は、父経由でブルースが好きで、元々は日本の音楽とか民謡。特に沖縄民謡が好きな感じで、本当にごっちゃになってましたね。チャンプルーみたいに(笑)。

C:それがすごくいいですよね。本当の意味で垣根がないというか、ジャンルで分けないというか。割とロックでも民謡でもブルースでも、似たようなグルーヴがあったりするし。

A:そうですね。

C:いろんな音楽には共通点もあってりするから、あんまり頭で考えて聴くより、そこにあるもので好きなものを聴けた方がハッピーかもしれないですね。

A:そうですね。

W:Caravanさんはギタリストとしても活動をしてましたけど、どういう経緯でギターを始めたんでしょう?

C:一番初めはうちの姉ですね。当時、バンド・ブームというのがあって、その頃、姉がドラムを突然、始めたんですね。で、それが俺にはかっこよく見えて、ドラムってものをやってみたいと、見よう見まねやってたんですけど、だんだんいろんな音楽を聴くうちに、ギターっていいなと。ギターって持ち運びができるから、いろんなところに一緒に連れて行けて、どこでもぽろんと弾けちゃう。そうすることで、なんか色んな人と混ざりやすいというか、コミュニケーションも取れる。そういうのもあって、だんだん興味がギターに移っていって…。その頃は、何をやったかな。うーん、初めはTHE BLUE HEARTS(ザ・ブルーハーツ)とか、そうだなBO GUMBOS(ボガンボス)とかも好きだったし、いろんな音楽を聴いてたんですが、だんだんアメリカのルーツ・ミュージックとかが好きになってきて、それでカウントリーとかブルースとかを掘り下げてる高校時代だったりもしました(笑)。わりと俺の周りにはそういうのの逆のような情報がいっぱいある世界だったから、みんな流行りのものにワーっと飛びついちゃうだけど、自分はそこに違和感があったりだとか、なんか馴染めなくて…。で、どちらかというと、そういう土っぽい音楽とか、そういうものの方がかっこよく聴こえて、それで俺もやっぱりCCRとかもすごく聴いてたし、意外と似たような音楽を聴いてた若い頃だったかもしれない(笑)。

A:そうなんですね。似た音楽を聴いてたんですね。

C:AnlyさんからCCRとかの名前が出てくるのは、すごくちょっとオーってなりますよ。

A:ほんとですか。なんかうれしいです。私も周りとかにそんな音楽を聴いている人がいなくて。流行りの音楽を知ってるというか、話を合わせるために聴いてはいたけど…。

C:わかるわかる。

A;なんか。本来はお家に帰るとそうではなくて。

C:みんなと話を合わせて、ヘッドフォンの中ではルーツミュージックが流れてるっていう(笑)。

A:まったくそうでした(笑)。

C:面白い!でも、すごくその気持ちはわかります。

W:おふたりはループステーションを使って、ライブをなさっていますが、どういう経緯で使い始めたんですか?

A:私はエド・シーランがきっかけですね。高校生の時にフェスでエド・シーランが演奏しているのを見て…。その前からエド・シーランは知ってたけど、ライブ・スタイルについては知らなくて、ひとりなのにこんなに音をいっぱい出せるんだ、っていうことにすごく感動して、私も始めたんですけど。やっぱり難しくて。一度ズレたら、ズレたまま音は回るし…、みたいな感じで挫折しかけたりすることが何回かあったんです。でも、なんとか最近はそれだけでライブできるようになったりはしてきたんですけど…。ひとりで最小限で最大限の音が作れる、これが私のスタイルだなという感じで。それがきっかけですね。

C:僕もバンドで毎回ライブできるってわけじゃないし、それでもバンドサウンドっていうのが好きで、バンドの音に少しでも近い音を出したいというのが使うきっかけです。まぁ、弾き語りも楽しいんだけど、やっているうちに自分で飽きちゃうというか、ちょっとなんか退屈かなと思っちゃう時があって。例えばここでギターソロがちょっと入ったらいいよねとか、イントロでこういうフレーズを弾きたいよなとか、なんかそういう全体的なアレンジ的なことを考えると、なんかないかなーと思ってたんですよね。じゃあ、同期でオケを流すとかはどうなのかなと思ったんですけど、それじゃあ、なんかカラオケみたくなっちゃうし、嫌だなと思って。そこでループマシンみたいなものに出会って”あっ、こんな便利なものがあったんだな”と思って。でも、やり始めてからも、散々失敗してきましたね。思い出すのも嫌なくらい寒いライブをいっぱいしてきましたね(笑)。

A:わかります(笑)。

C:ずっと半拍ずれたままループしてるみたいな(笑)。

A:(笑)

C:すごい不思議な曲みたいになっちゃって(笑)。

A:悪夢(笑)。

C:それは思い出すと背筋が凍りますよ。でもね、最近もありますけどね(笑)。使いすぎちゃって、ボタンがバカになってきて、踏んでるのに効かないって時とか(笑)。

A:それは大変ですね(笑)。

C:でも俺は基本的に機械音痴だし、不器用なんで、できる範囲で精一杯って感じなんですけど。

A:私もこれが精一杯って感じです(笑)。

C:いや、すごいと思うよ。今、マシンもすごい進化してますもんね。ミュートできたり、また復活できたり。なんかこのパートだけ一旦ミュート、とかもできたりするんでしょ、今は。

A:そうですね。このフレーズは、一旦、後で出そうみたいに。

C:すごい!でも、なかなか歌ってギター弾きながら、そっちも考えるというのは、大変ですよね。なんか楽器を三つくらいコントロールしながら歌ってるような感じで。でも、やっぱり慣れてくると、慣れてくるもんですか?

A:慣れてきますね。たまにコツとかありますかって聞かれたりするんですけど、”すいません、練習あるのみなんです”みたいな(笑)。その時のモチベーションが高くないと、絶対ズレるし。なんか間違ったら間違ったで、その時の対処法を考えとかないといけないんですよね。もうほんとに頭の中をループステーション用のモードに切り替えないと。

C:すごいね、右脳はこれで、左脳がこれでみたいな。人格がいくつか必要な感じがする。

A:ほんとに(笑)。

C:いや、素晴らしい。ライブを見てても、ここはこうしてんだなとか、機材の使い方がすごいって感じるだけじゃなくて、ちゃんと音楽が頭に入ってくるライブをしてるから。ただこの人器用だな、すごいなという印象じゃなくて、あぁ、いい歌だな、いい曲だなってところに行ってるのがすごいなとは思いましたけど。

A:うれしいです。一番そう感じてもらえたらうれしいなと思っていて、あくまでも歌、歌いたいからやってるった感じで。

C:歌、歌いたいってにしては、すごいことまで行ってますけどね。尊敬します。

W:Caravanさんだって、ループマシンを使い、バスドラをキックしながら歌ってるじゃないですか?

C:でもあれは踏むだけですから。技術というよりフィジカル。気合いが一番大事みたいな(笑)。

W:当日のライブは、お互い弾き語りという感じでやるわけですか?

C:自分はループマシンを使いながら、弾き語りです。

A:私もループペダルで大体やると思います。

C:楽しみです。リハとかで足元とか見ていいですか。

A:もちろんです。ガン見してもらって(笑)。

C:公開しないんで、iPhoneで撮ったりとかしてもいいですか(笑)。

A:もちろん大丈夫です。ぜひぜひ(笑)。私も覗いていいですか。

C:ほんとつまらないものしかないんで。よかったら見てください(笑)。

A:ありがとうございます(笑)。

W:おふたりはコロナ禍でも、ちゃんと新しいものを作り出していますけど、その意欲はどこからくるんでしょう?

C:逆に俺はコロナ禍っていうのがバネになってますね。去年なんかライブができなかった分、歌を作って、今、会えない人とか、そういう人たちに送る手紙のような感じで、音楽で伝えるしかないなという状況ですね。だから制作のモチベーションというのはすごい高まるというか、今だからこそ作りたい歌みたいなのがけっこうあったような気がします。

A:私はあまり長く生きてないので、なんかあたふたとしてました。こんなことあるんだって。

C:ほんと、そうだよね。

A:まぁ、みんなそうだと思うんですけど、なんか音楽制作に関しては、今まで作ったものを見直すというか、そんな時期だったですね。なんだろう、今まで自分はどんなのも作ってきたかって振り返る機会にもなったし、この先、またライブができるようになったら、どうやっていこうかなとか、考える機会になりました。なので、制作というよりかは自分の内面と向き合う時間がいっぱいできたなというのがすごいありましたね。

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