TommyGuerrero『サンシャイン・ラジオ(Sunshine Radio)』ロングインタビュー

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Photo by Claudine Gossett

昨年からヨーロッパでもツアーしていましたが、それはこういう若い世代のリスナーが増えたからですか?

TG: いや、それは関係ない。ヨーロッパをツアーしてもいいと自分で決めてから、形になったんだ。実は、何年も前からヨーロッパ、オーストラリアからツアーのオファーがしょっちゅう来ているんだけど、そっちの地域でツアーをすると、すごくお金がかかってしまう。ツアーサポートがないから、自腹でツアーのコストを払わないといけないんだ。ヨーロッパのツアーはトントンだったけど、それが今後の活動につながるといいと思ってる。

『Sunshine Radio}を作る上で、特にインスパイアされた音楽はありましたか?

TG: 前から聴いている音楽と変わりはないけど、アフリカの音楽は結構聴いているし、ガボール・ザボ、マーク・リボー、ジョン・コルトレーン、マイルス・デイヴィスの『Bitches Brew』や『On The Corner』などのジャズは大好きだよ。アフリカ音楽だと特に、フェラ・クティ、エボ・テイラー、ベンベヤ・ジャズ・ナショナル、Hailu Mergia & Dahlak Band、Orchestre Poly-Rythmo de Cotonouなどを気に入ってる。こういう音楽は大好きだけど、自分の音楽が同じサウンドになることはないんだ。『Sunshine Radio』の最後の曲は、コルトレーンへのオマージュとも言えるよ。スピリチュアル・ジャズっぽい曲に仕上がったんだけど、そういうアルバムをいつか1枚作ってみたいね。俺の昔の曲にも、スピリチュアル・ジャズの要素が入っているものもあるけど、アルバム丸ごとそういうサウンドでいつか作ってみたい。

今回から取り入れた新しい楽器やレコーディング・テクニックはありますか?

TG: いや、特にないけど、今回は今までよりFarfisaのオルガンを多用した。今までとは違うテクスチャーを入れたかったら、メロディを結構Farfisaで演奏したんだ。このアルバムは俺が所有しているスタジオではなく、少ない機材を使って自宅でレコーディングした。部屋にミニ・ドラムセットを設置して使ったよ。家では、DIY的な方法でレコーディングしたんだけど、ミックスはRuminator Studioのモンティ・ヴァリエにいつものようにお願いした。ミックスするときに新たな生命が作品に吹き込まれるから、モンティはある意味バンド・メンバーみたいなものだよ。モンティとミックスの作業するのはすごく楽しくて、アイデアを出し合ったり、音を追加したりするんだ。彼とスタジオに入る時点で、自分がどういう風に曲を仕上げたいかはノートに書いておく。完全に彼に任せているわけではなくて、ミックスするときに、自分もいろいろなアイデアを出して、一緒に作っていく感じだよ。彼はエンジニアだから、低音を削ったり、EQをかけたり、音質をよくするためにいろいろな技術的なことを担当してくれる。

レコーディングした時は、モンティと一緒ではなく、あなたが一人で全部楽器を演奏しながらレコーディングをしたんですか?

TG: 基本的にそうだよ。1曲だけ、チャック・トリースが叩いたドラムのループを使ってる。何曲かでマット・ロドリゲスがパーカッションを叩いてる。最初は自分でコンガを叩いたんだけど、後でマットにRuminator Studioに来てもらって、自分が叩いたコンガを彼のコンガの演奏と入れ替えたんだ。他のパーカッションは自分で叩いたよ。楽器はすべて生楽器やアナログ機材で、MIDI機材は使っていない。MIDIは未だに使い方もわからないよ(笑)。ミニ・ドラムセットもセッティングして、何曲かは自分で生ドラムを叩いたんだ。ドラムは結構上手くなってきたよ(笑)。チャックはフィラデルフィアに住んでいて、なかなかカリフォルニアに来れないから、彼が昨年遊びに来た時に、モンティのスタジオで彼のドラムをレコーディングしたんだ。その中らループを作って、1曲で使った。このアルバムのベースの演奏では、GibsonのSGと70年代の日本製のEpiphoneを使っているよ。

以前、あなたのサンフランシスコのスタジオに行ったことがありますが、そこでレコーディングしなかったわけですね?

TG: そうなんだ。ロックダウンになってから、自宅からサンフランシスコのスタジオに行ったり、DLXに行かなくなったから、自宅でレコーディングするしかなかったんだ。俺が住んでいるエリアからサンフランシスコまで15マイルしかないんだけど、渋滞すると1時間半くらいかかることもある。行って帰ってくるだけで2〜3時間かかるから、それだったら家でレコーディングしようと思ったんだ。自宅のスタジオでレコーディングしたけど、そんなに機材は必要ない。アンプを使わずに、ギターなどは全部ダイレクトでレコーディングした。モニタリングはヘッドホンでやってるし、自分が音楽を作り始めた頃とほぼ同じセットアップだよ(笑)。ギターにエフェクトをかけて、マイクプリを通してダイレクトでレコーディングしたし、ドラムをレコーディングするときはスネアにShure SM57、キックにはAKG D112のマイクだけを使った。安いマイクだけを使ったけど、Pro Toolsに直接レコーディングしたんだ。

最近は”ベッドルーム・ポップ”というジャンルがネット上で人気がありますが、あなたは何十年も前から宅録ですよね。

TG: そうだよ。自分が音作りをし始めたときからこのずっとこのスタイルでレコーディングしてるから、もう28年間も経ってる(笑)。俺が初めてソロでリリースした曲は25年前だったんだ。New Breedというレーベルから95年にリリースした『Fat Jazzy Grooves』というコンピレーションが初のリリースなんだよ。当時、トミー・ゲレロ名義で活動する前は、ビーツ・オブ・サンフランシスコという名義でトラックを作っていたんだ。もう25年前の話だけど、初のソロ・トラックのリリースだよ。このシリーズのコンピレーションに何枚か参加したんだけど、ソロ・アーティストとして活動し始めたのはその前からだから、90年代初期だった。当時から、ベッドルームで曲作りをしていたから、もうかなりこのスタイルでのレコーディング歴は長いよ。

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